化学系の学部・学科で理論計算を行う人は、gaussianやGAMESSといった量子化学計算プログラムを使って解析を行うケースが殆どだと思います。
しかし、シュレーディンガー方程式の解釈の仕方はそれだけではなくて、バンド理論というのも一つの見方です。
vaspやQuantum Espressoといったプログラムを用いて計算したバンド構造図は、初めての人には非常にわかりづらく、また、何度か見せられた場合でもよく言われる特徴(バンドギャップの有無、それが直接遷移か間接遷移か)くらいしかわからない人もいるかと思います。
化学分野の人がこれを理解しなければならない、というときは、以下の本が良かったので、ここに載せておきます。

- 作者: R.ホフマン,Roald Hoffmann,小林宏,榎敏明,海津洋行
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 1993/01/01
- メディア: 単行本
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- 作者: P.A. Cox,魚崎浩平,米田龍,高橋誠,金子晋
- 出版社/メーカー: 技報堂出版
- 発売日: 1989/03/01
- メディア: 単行本
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一つ目は、福井謙一先生と一緒にノーベル賞を受賞されたホフマン先生の本で、バンドを直感的に理解するには非常にわかりやすい本であると言えます。バンドは実際には一つ一つが分子軌道と同じように考えることができます。 ただ、この本は絶版なので、図書館や古本屋さんで探すしかありません。
二冊目は一冊目の本をもう少し現代的に書いた本で、4章でバンド理論のホフマンの本の要点は一通りまとめられてはいます(が、ホフマンの方が個人的にはわかりやすかった)。 実際にバンド理論を考えるには、3d軌道のように、電子が局在する最外殻軌道を考える必要があります。その時に出てくるのがHubbard-Uパラメータですが、このあたりについても説明がなされているので、必要に応じて読むのが良いと思います。