のらりくらり

物理化学分野のポスドクです。プログラミング、読書、自転車などが好きです。

化学屋から見たバンド理論

化学系の学部・学科で理論計算を行う人は、gaussianやGAMESSといった量子化学計算プログラムを使って解析を行うケースが殆どだと思います。

しかし、シュレーディンガー方程式の解釈の仕方はそれだけではなくて、バンド理論というのも一つの見方です。

vaspやQuantum Espressoといったプログラムを用いて計算したバンド構造図は、初めての人には非常にわかりづらく、また、何度か見せられた場合でもよく言われる特徴(バンドギャップの有無、それが直接遷移か間接遷移か)くらいしかわからない人もいるかと思います。

化学分野の人がこれを理解しなければならない、というときは、以下の本が良かったので、ここに載せておきます。

固体と表面の理論化学

固体と表面の理論化学

固体の電子構造と化学

固体の電子構造と化学

一つ目は、福井謙一先生と一緒にノーベル賞を受賞されたホフマン先生の本で、バンドを直感的に理解するには非常にわかりやすい本であると言えます。バンドは実際には一つ一つが分子軌道と同じように考えることができます。 ただ、この本は絶版なので、図書館や古本屋さんで探すしかありません。

二冊目は一冊目の本をもう少し現代的に書いた本で、4章でバンド理論のホフマンの本の要点は一通りまとめられてはいます(が、ホフマンの方が個人的にはわかりやすかった)。 実際にバンド理論を考えるには、3d軌道のように、電子が局在する最外殻軌道を考える必要があります。その時に出てくるのがHubbard-Uパラメータですが、このあたりについても説明がなされているので、必要に応じて読むのが良いと思います。