私は、博士課程在学中に学生支援機構の奨学金を借りていました。 返済免除については、他にも色々な方がブログなどで書かれていますが、私も一応書いておきます。 自分の場合は半額免除でしたが、かなり助かりました。
博士課程の場合も、返還免除を獲得するための作戦自体は修士と同じです。ただ、修士の頃からバリバリと研究成果を出している人は、学振などに早いうちに通っているものなので、意外とハードルは低い気がします(苦笑)
返還免除の基本的な流れ
返還免除の決定までの基本的な流れをみておきましょう。
まずは学内審査で推薦者を決定
まず、所属する大学院内で奨学金を借りている人のうち、上位3割を審査で決定します。これには、それぞれの大学院ごとに基準が異なります。 「全国で奨学金を借りている大学院生全体の上位3割」ではなく、「所属する大学院で借りている人のうち、上位3割」であることに注意です。
大学から、機構へ学生を推薦
学内審査で上位3割に選ばれた人は、大学から学生支援機構へと免除を推薦され、学生支援機構にて、返還免除の可否が決定されます。 基本的には大学院から学生支援機構への推薦を得られれば、(少なくとも半額の)返還免除の権利は得たも同然です。 参考までに、平成29年度に貸与が終了した人は下記の通りのようです*1。なんと推薦者全員が返還免除を勝ち取っているようですね。
課程 | 貸与終了者数 | 推薦者数 | 免除者数 | 免除者数のうち全額免除者数 | 免除者数のうち半額免除者数 |
---|---|---|---|---|---|
修士課程 | 22,205 | 6,581 | 6,581 | 2,185 | 4,396 |
専門職大学院課程 | 1,140 | 336 | 336 | 110 | 226 |
博士課程 | 2,677 | 842 | 842 | 292 | 550 |
計 | 26,022 | 7,759 | 7,759 | 2,587 | 5,172 |
書類の作成
審査基準を知っておくこと
まずは学内での審査基準を知っておく必要があります。 私がいた大学院の場合は、学位審査の時期の前後に書類が学内便で送られてきました。そこには
英語論文・・・筆頭(20点/1本)、共著(10点/1本)
和文・・・筆頭(10点/1本)、共著(5点/1本)
・・・
といったように業績数ごとに点数への換算係数が書かれています。 基本的には英語の論文がどの大学院でも圧倒的に強いのですが、この点数を知っていることで「何をどのくらいこなせば論文1本分になるのか」ということがわかるようになります*2。
この基準は、多くの場合、大学院のWebページなどでは公開されていないようです。 したがって、可能ならばこの基準を先輩などにコピーさせてもらって早いうちに入手し、常に意識するようにしましょう。 基準さえわかれば、もう戦略も何もありません。評価基準をそのまま優先順位として、手持ちの結果で行えることを常に考えていきます。
また、申請の際は学会発表の際のプログラムのコピーなどが、証拠書類として必要になります。 したがって、関連書類は絶対に無くさないように、常に一箇所にまとめておくことをオススメします。
そのほか、学内審査ではTAなどの実績はカウントされないこともあるようですが、学生支援機構に渡す書類には同封しておいて損はありませんので、雇用契約書なども必ず保管しておきましょう。
最後に
基本的には論文数や学会発表の数など、重み付けは大学院によって異なりますが、外部発表が業績ということです。 このためにも、常に「今のデータで何がいえるか?」をひねり出しつつ、発表機会を多くできるよう、指導教員に働きかけましょう。 ここで、「君はまだ結果が何も出ていないから・・・」というように、建設的なことを何も提案しないまま否定的なことしか返さない指導教員のラボにはむしろ行かない方が良いと思います。。。
*1:学生支援機構webページ「認定結果の概要」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/taiyochu/gyosekimenjyo/gaiyo.html
*2:大学の先生などは和文論文をバカにしがちですが、こういうものの評価に当たっては必ずしも蔑ろにできるものではないこともわかるかと思います。