重箱の隅を優しくつつく

博士号取得後、化学企業で働いています。科学(物理化学)、プログラミング、読書、自転車などが好きです。

会社員からポスドクへ。 研究の世界に戻るにあたって

昨日が会社の最終出勤日でした。新卒入社後、1年半しかいなかった会社ですが、意外と色々な人にお世話になっていたものだと気がつき、辞めるとなるとそれはそれで寂しいものがありました。

以前の記事でも書いた通り、これからは元いた研究所でポスドクとして働かせてもらいます。

www.swakamoto.com

これから戻る研究の世界が過当競争であることは自分自身分かっていることであり、まさに茨の道ですので、今後どうなるのかわかりません。もしかしたら2年後にはホームレスになっているかもしれません(と送別会では言いましたw)。

それでも、おそらくこれが自分の人生における初めての「意志決定」であり、ゆくゆくは海外に出たいと考えている自分にとってはおそらくこのタイミングで行動を起こすしかなかったと思います。

研究の世界に戻るにあたり

これから、実際に研究するテーマは別のところでまた書くとして、メーカーの生産現場で働いた経験は自分の考え方に大きな影響を与えたものと思っています。

特に、今後の方向性を考えるにあたり、メーカーを経験した後で思うのは、学術業界に戻った以上「科学的に意味のある研究」をしないといけないと思っています。

ここでいう「科学的に意味がある」は、新しい現象を予言することや、今まで仕組みがわからなかった現象について理論的説明を試みること、一般性の高い問題に取り組むことなどと色々な観点があると思いますし、さらに言えば「どれほど意味があるか」は出版時点ではわからず、その後の引用のされ方などによると思いますから、まずは論文をできる限り一般性を持つところまで考察して出版しつづけることを目指したい。

一方で、理論計算の化学・固体物理の研究者として、少なくとも自分自身の研究姿勢としていわゆる「銅鉄主義」に陥ることだけは避けたいと思っています。

これはメーカーに入ってみて思ったことですが、素材メーカーがやっている事業は、当たり前ですが「普及させることに意味があるか=大量生産してペイするか」で判断されるものであり、決して「科学的に面白いか」という評価軸では決まっていません。ということはもしアカデミック側の人間が「科学的に新しい意味はあまりないが、とりあえず色々な化合物を試してみてある種のKPIに則って評価して論文にする」というタイプの研究は、それがペイするとなった瞬間、企業側で多くの研究者を投入して人海戦術でなんとかなる可能性が高いためです。

アカデミック側に戻るからこそ、「役に立つかは知らないが、科学的に意味がある」ことを強く意識することになったのは、会社生活を経たお陰だと思いますし、そのようなテーマ設定をこれから意識して行きたいと強く思います。